唯だひとつ 永きに弥る ものがたり

ポケモン剣盾における構築記事やメモ落とします。

【初心者向け】構築相談のガイドライン【ポケモン剣盾】

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ポケモンの構築を相談したいんだけど、 どうやって相談すればいいのかな…???

ポケモンの構築を相談されたんだけど、 何から教えたらいいかな…???

 ポケモンの構築を誰かに相談したい時、相談する側もされる側も「何から始めたらいいかイマイチわからない…」という経験をしたことはありませんか…?せっかく時間を割いて構築相談をするなら、ポイントを押さえてスムーズに相談したい(されたい)ですよね!こんな時、「構築相談のガイドラインみたいなものが欲しい…。
 今回はそんな悩みを解決するために、実際に私ミエイが構築相談にのって頂いた時の様子を元に「構築相談のガイドラインをつくってきました。構築相談に悩んでいる皆さんは是非参考にしてみてください!

1.構築相談を始める

 この章では「相談する側がどのような情報を準備すればいいのか」「相談される側はどのように情報を整理すればいいか」という内容を中心に、構築相談の始め方を解説します。
 ここからは、ある程度「構築の叩き台」ができている前提で話が進みます。構築を1から組むにあたって、軸の設定の仕方や補完枠の考え方については、「いろっチャンネル」様の以下の動画が非常に参考になります。

【永久保存版】上位ランカーがガチで教える『構築の組み方講座』【ポケモン剣盾】

www.youtube.com

1.1.構築相談・相手の選び方

 構築相談を行う相手には大きく分けて次の2パターンが存在します。

身近な強い人
 →初対面でもないので、気軽に相談ができます。
  その中でもその人のプレイスタイルにあった質問をするのが望ましいです

  (自分が使用している構築タイプに応じて声をかける人を考えましょう)

構築の原案者
 →より詳細な情報や適切なアドバイスが頂ける可能性がありますが、初対面の場合は距離感やマナーに特に気を付けましょう。

 今回ミエイは、「身近な強い人」にあたるSさんにお話を伺ってきました。使用していた構築がサイクル向きであったこともあり、普段サイクル構築を触っていらした方に声をかけてみた感じです。 

 

1.2.構築の概要を共有する

Sさん、ポケモンの構築相談に乗って頂けませんか…?どうにもランクマッチでうまく勝てなくて困っているんです…。

構築の相談ですね。承りました!
ではまず「今考えている6体の構成と配分」を下の例を参考に簡単に教えてもらえませんか?
もし参考にした構築記事があれば併せて聞かせてください。

○Sさんから渡された例

ドラパルト|陽気HS|残飯
アロー・ダイブ・竜舞・身代わり

ガオガエン|呑気HB|フィラ
バクア・守る・鬼火・捨て台詞

 構築相談を始める上でまず初めに聞くことは「構築の大まかな内容」です。ここで伝える内容は、いわゆる構築記事のような詳しいものではなく、双方が理解できる程度の簡単なもので構いません。伝える(聞く)情報の目安としては6体の構成・おおまかな努力値配分・持ち物・技構成の4点がベストです。この時、質問者は参考にした記事や動画があれば、一緒に伝えておくとその後の相談がスムーズに進みます!
 回答者には、今回Sさんが「例」を示してくれたように、「どのような情報をどのくらいの量で欲しいのか」という事を示してもらえると、質問者がすっごく助かるはずです。

 構成と大まかな配分を聴かれたミエイは、以下のようなメモを相談相手のSさんに渡しました。(記事上では見やすいように、適宜画像をはさんでいます。)また、参考にしていた以下二つの記事のURLも併せて伝えました。

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1.2.構築のコンセプトを共有する

確認しました!
そうしましたら次は「コンセプトや勝ち筋」をざっくり教えてください!

 構築の内容が共有できたら、次に話題に挙げるのがパーティーコンセプトです。コンセプトと聞くと難しく感じますが、要は「どうやってに勝ちたいか」ということを言語化するのが今回のフェーズになります。ここで重要なのは相談する側が自身の構築の事をどの程度理解できているかを把握することにあります。相談する人によっては、勝ち筋や通したいポケモンなども決まっておらず、「どうやって勝ちたいか」がわかっていない場合もあると思いますが、その現状も含めて言語化することで双方がその構築の現状を理解することが大切です。
 この時、質問者は6体のポケモンの採用順を絡めつつ言語化すると、より構築への理解が進むはずなので、勝ち筋がなんとなく見えている方はこれを意識して言語化してみましょう。

 このフェーズでミエイがSさんに渡したメモがこちらです。前期自分が使用していた構築の改善点を探しているところだったので、勝ち筋を基本選出と共に記載し、6体のポケモンの採用順と理由を添えて伝えました。

○コンセプト: フィールドを整えて巧みキッスを通す。

○基本選出 : トゲキッスギャラドスラッキー

 

○目指す勝ち筋①

サイクルの中で有利対面をつくるorエースの圧力により、相手のDMを強要し、受け駒で受けつつ、相手のDMを枯らしてから自エースを通す。

○目指す勝ち筋②

ラッキーでステロ電磁波を撒いて雑に切り、電磁波の入ったポケモンを起点に自エースで積んで全抜きを狙う。

 ○採用順など

基本コンセプトトゲキッスを通したいので確定。

トゲキッスを通す上で、安定してステロ電磁波を撒ける、硬いラッキーを採用。

ラッキーで受けられないエースバーンパッチラゴンを受けられるカバルドンを採用。

カバルドンで受けられないギャラドスゴリランダーを見つつ起点作成もできるギャラドスを採用。

残り2枠は要検討

ドラパルトは型が多く、選出時の圧力に期待できる。鉢巻アローのサイクル破壊力や不意打ちのスイープ性能も非常に魅力。

エースバーンは相手のエースバーン用ポケを選出に絡めることでトゲキッスの通りをよくすることができると考えている、環境トップメタの為、現在このポケモン自体の通りはあまりよくなさそう。

なるほど、了解です。そうしたら今回扱う構築の大まかな情報は整理できましたね。次のステップへ進みましょう!

ありがとうございます!改めて言語化することで自分もなんとなく構築の概要を改めて整理できました!

 これにて、構築相談の導入部分は終了です。ここまでの流れで質問者・回答者が、取り扱う構築の概要を共有できていることが本章のゴールになります。双方が「どのような流れで勝ちたいか」を把握できていれば大丈夫です。

2.構築の問題点を探す

 この章では、構築相談において必要不可欠な「敗因(+勝因)の分析」や「データ収集の仕方」、「分析結果の添削の仕方」を解説します。
 1節・2節で解説する作業領域は主に「質問者」、3節で解説する作業領域主に「回答者」のものになります。作業領域の異なるフェーズですので、「どのように分析を行って欲しいか」「どのような点を添削してほしいか」などを双方向に伝えあうことが重要になってきます。

2.1.実戦を通して敗因分析の材料を集める。

それでは早速、構築の穴を探していきたいと思います。
今、このパーティーでどうして勝てていないのか、実際にランクマッチに潜って分析してみてください!
分析は以下のような形で行うといいと思います。

 いよいよ、構築の分析に着手します。ここで、質問者が「勝てていない理由」を自分自身で把握することは、とても難しいことです。しかし、回答者は実際にそのパーティーを動かしているわけではないので、この後構築相談を行っていく上では、質問者による詳細な分析が非常に重要な材料となります。以下に敗因分析の材料集めの大まかな流れとコツをまとめたので、質問者はこれを参考にして敗因分析にトライしてみましょう!
 回答者は以下のメモを参考にしながら、質問者へ敗因分析のハウツーを示唆できるとベストです。(こんな風にデータとって見てねって教えてあげる)この行程はしばらく時間をかけて(2日~5日)、じっくり分析できると良いので、分析の仕方と併せて、分析にかける大まかな時間の目安も伝えるようにしましょう!

○目指す敗因分析の形の例

・構築単位で相手のロトム水が厳しい。(構築に穴がある)
・相手の6体に対応しようとすると選出枠が足りず、切ったポケモンに負ける。(選出がうまくできない)
・出し負けが多く、相手に主導権を握られる(選出・立ち回りの問題)
etc...

○敗因分析の材料集めの流れ

①1戦ランクマッチを消化し、勝因・敗因を数分考える。
②5戦程消化したら通しでの勝因・敗因を考えてメモをする。
③①・②を何セットか繰り返して、情報を集める。

○ポイント

・メモ(言語化)することに時間を多く割く。
・選出した3体や勝率のデータを取ってみる。
・勝ち方・敗け方を分類してまとめてみる。(構築相性/選出/立ち回り/運)

※途中で構築の構成を変更してしまうと、話がややこしくなってしまうので、敗因がはっきり浮かんでくるまでは大枠の変更はしない
構築の中身を変えると、相手の選出やプレイングも変わるので一貫したデータが取れなくなる。

ミエイの場合は、3日ほどかけて50戦消化し、その間に「選出率」「勝率」の調査と、「勝ち方・敗け方の分類」を行い、メモしました!
実際にデータ収集において気を付けてた事などは以下の点です!

・選出したポケモンを「正の字」で数えて選出率をリアルタイムで可視化
「敗け方」だけではなく、「勝ち方」にも目を向け、その差異から敗因の傾向を予測
・勝ち敗け両試合のターニングポイントとなったプレイ(ターン)を思いだし、それを足掛かりに「勝ち方・敗け方」のイメージを作成
・相手にしてキツイと感じたポケモンを単体で考えるのではなく、キツいと感じる理由でグループ化して分類
・敗けた試合の初手選出と相手の初手選出に注目し、実戦の中で選出パターンを改善・改良

 このようにして、敗因分析の材料を集め終えたら、次はこれらをわかりやすく伝えるためにデータをまとめます。

2.2.集めた材料をまとめ、敗因を言語化する。

 集めたデータのまとめ方には色々な方法がありますが、ここではミエイがまとめたデータの整理資料を参考にデータのまとめ方のポイントを見ていきましょう。もちろんまとめ方に正解はないので、構築を握ってデータ取りされた方がまとめやすいようにまとめられたらそれでOKです。

意外と文章化するのは難しかったです。少し煩雑ではありますが、章立てしてまとめると見やすい整理資料になると思います!

 以下画像が、実際にミエイがまとめて、Sさんに提出した整理資料です。(画像の下にブログ用にまとめたデータを置いておくので、中身についてはそちらをご覧ください。)

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ラッキー軸の直近50戦のデータまとめ

1.勝率

31勝19敗=勝率:62%

2.選出率

第1位: ギャラドス →42回=84%
第2位: ラッキー  →40回=80%
第3位: トゲキッス →37回=74%

第4位: エースバーン   →11回=22%
第5位: カバルドン  →10回=20% 
第6位: ドラパルト  →  5回= 1%

 

3.勝ち試合のパターン(31勝)(○構築相性 △立ち回り)

ラッキーギャラドスで起点を作ってトゲキッスで全抜き(12回)
△巧みトゲキッス・鉢巻ドラパルトで・エースバーンで相手のDM強要して、後発DMスイープ(6回)
ラッキーTOD(6回)
△積みATに対してギャラドスでDMして、無理やり切り返し(4回)
○ACエースバーンで全抜き/鉢巻ドラパルトで全抜き(3回)

 

4.負け試合のパターン(19試合)(●選出 ○構築相性 △立ち回り)

ラッキーが積みポケ(電磁波が入らない)の起点にされて、PTが半壊(9回)
○先にステロや電磁波を撒かれ、サイクルを回せずにPTが半壊(5回)
△ACエースバーンはじめ、初手DM構築にPTが半壊(3回)
△ACエースバーンをうまく受け回されてしまい、後発DMを受けきれず敗戦(2回)

※敗け試合の初手選出の多くはラッキーorギャラドスで、その多くが出し負けて、相手のポケモンへの対応が後手後手になってしまっていた。

 

5.きついポケモンと敗戦の分析

ギャラドストゲキッスが飛んでいる為、先にステロ撒かれるときつい。
トゲキッスで上をとるのが構築コンセプトである為、電磁波の入らない積みポケモンがきつい。(ラッキーが起点にされる)(ロトム水ロトム炎ドリュウズドサイドン)
・同様の理由で、ルガルガン黄昏ハッサムなどのトゲキッスの上を取れる先制技持ちがきつい。
ギャラドスのHPが有限である為、雑に削ってしまうと咎められる。(起点にされる)
ギャラドストゲキッスの行動が制限される為、挑発ギャラドスウーラオス悪がきつい。
・基本選出3匹に通る技を持っている為、ボディプレ持ちのジバコイルナットレイがきつい。
・単純にストッパー性能が高い為、珠ミミッキュ剣舞ウォールからの切り返しがきつい。

 

6.総括(何故いま勝てていないか)

・電気タイプ・岩技を覚える地面タイプに対する対策が薄い為(ドラパルトしかいない)、1ターンでも隙をみせて積まれると誰も止められない。(構築に穴がある)
トゲキッスより速いポケモンには電磁波を撒いて対策する為、Sが速く、ラムを持っているポケモン・ねむカゴ型のポケモンを止める手立てがない。
・敗けた試合トゲキッスを大事にしすぎるor雑に使いすぎている。(=構築の核となるポケモンをうまく使えていない)
トゲキッスが通せない構築に対する積みATがいない為、PTコンセプトに沿った勝ち筋を追えない。
・ステロが1/4入るポケモンが多いため、ステロや電磁波を撒く似たような構築に対して、積極的にサイクルを回すことができず、後手後手になってしまいサイクル敗けしてしまう。

 このように、文章化する時には「勝ち敗けのパターンの一般化」「キツいポケモンのグループ化」によって、課題がより明確に視えるように(どのように改善していきたいかがわかるように)まとめることを目指してデータ整理を行いました。
 さて、ここまで作業を進めたミエイは以上の資料をSさんに提出して、添削をお願いしました。分析していてイマイチわからなった点がある場合は、思考の流れと共に伝えましょう。そうすることで回答者も添削の重点が見えやすくなります。 

お疲れ様です!敗因分析完了しましたので添削お願いします…!

たくさんのデータ収集お疲れ様です、確認しますね。

2.3.敗因分析を添削し、具体的な課題を提示する。

 敗因の分析がある程度まとまり、データが集まったら、それを添削・評価して頂き、課題を改善する準備に移ります。このフェーズで重要なことは、両者が「どれだけ具体的に課題を見つけることができるか」ということです。ここでは実際にSさんに添削して頂いた内容を元にして、添削のポイントをまとめさせて頂きましたので、是非参考にしてみてください。

※1.勝率はあくまで目安なので、今回は割愛。

2.選出率
ドラパルトが空気になってしまっていることと、(軸を多く出しているのは悪いことじゃないにしても)ラッキーギャラドストゲキッスが本当にこんなに出せる選出なのかということに疑問はあります。
参考記事2つを読みましたが、プランとしては「ラッキーギャラドスの2枚で状態異常撒きや削りを行いトゲキッスで全抜きする」という、大きくトゲキッスに依存したものだと解釈しました。トゲキッスが通る構築に無類の強さを発揮するのは間違い無いのですが、ステロを筆頭に一貫する技が多く、ラッキーギャラドスのどちらかが起点にされた時に切り返しができるポケモンがいないあたりの問題点もあってどんな構築にも出せる万能選出ではないように感じます。
これらのことから、補完3枠の存在意義を見直して、トゲキッスが通せない相手へのサブプランを作る必要があると思います。huyunoさんの元記事で言うとウーラオス水エースバーンの対面選出ですが、今の様子だとトゲキッスが刺さらない構築にエースバーンを出す時にエースバーン絡みの選出がうまく組めていないのかなあと感じました。

ポイント

○選出頻度が高いポケモンの選出のされ方が適正かを、そのポケモンの特性やパーティータイプ・現環境とを考慮して評価する。
→選出率が高いポケモンは構築の主な勝ち筋を担うポケモンなので、うまく運用できていない場合(極端に選出が少ない・多い)、そのポケモン運用の見直しを示唆する必要がある。

○選出頻度の低いポケモンが「何故選出できていないか」を示したり、「その枠に求められる役割」を示したりしながら、構築の全体的な問題を指摘する。
→基本的に選出率が低いポケモンというのは、構築において役割が薄いか、明確な役割があっても選出者が適切に扱えていない場合の2パターンに大別されるので、どちらかを判別して改善策を提示する必要がある。

※受けループを対策するためのポケモンなど、特定の役割を持たされていて選出する機会が少ないポケモンも存在するので、一概に「選出率の低さ=問題」というわけではない。
(例:剣盾S8において生息が確認されたウーラオス対策のチョボマキ等)

○選出率は可視化されている為、「選出率が高い・低い」という尺度だけで評価してしまいがちだが、構築の性質的に「どのポケモンが多く選出されるべきなのかという理想像からの乖離から、選出の問題点や、構築の問題点を模索するといった視点を大事にする。

3.勝ち試合
ラッキーTODの回数が多めなのと、ギャラドスのDMで無理やり切り返してる2点は相手が上手くなるとボロが出てきそうで少し危ないかもしれません。他はコンセプト通りでいいと思います。
ラッキー自体がかなり起点にされやすいポケモンなので、相手が処理ルートを用意してるかどうかに大きく左右されるのが難しい気はします。(ラッキーを出さないようにという意味ではなく、ストッパーがやっぱり要るよねという意味で)

ポイント

○パーティーの特性・現環境の傾向から考えられる「俯瞰的な視点」、今後上位帯でプレイする上で同様の勝ち筋を通せるか、という「将来的な視点」から、今の勝ち方に問題がないかを評価する。

※基本的に勝てているのは良いことなので、無理に問題点を挙げる必要はない。

4.負け試合
ざっくり見た感じでも、やはりラッキーギャラドスへの依存が激しい気はします。これらは出し負けが少ないポケモンではなく、むしろ役割対象に後投げしてから展開するポケモンだと思うので、あまり考えずに初手に置くのは避けた方がいいかもしれません。

ポイント

○負け方は主に「構築相性・選出・立ち回り・運」に大別されるので、これらの観点から敗因を再評価し、プレイヤーが気づけていない部分を解説することを目指す。

※構築相性については次節のキツいポケモンの項で詳しくみる。

※選出については前節の選出率の項で詳しくみる。

○立ち回りについて、「パーティーコンセプト」を通すことに失敗している場合に、それが何故なのかを検討する。
(選出の仕方・試合の組み立て方・切り返し方 etc...)

 ここまでで浮き彫りになった「構築の課題」を改めてまとめると大きくわけて次の3つになりました。次章ではこれらの課題の改善に取り組んでいきます。

○構築の課題(例)
・ドラパルトの型
エスバ絡みの選出の確立
・サイクルパーツが起点にされる積みATへの回答

○立ち回りの課題(例)
・「出し勝った時のアドが大きく、出し負けてもケアが効く」初手選出を心掛ける。
・エースを無暗に後出しすることでHPを削るプレイングを控える。

 3.パーティーを改善する

3.1.パーティーの課題から構築の方向性を見直す。

課題は見えてきたけどここからどうやってパーティーを改善しよう…??

 2章の行程を経て、パーティーと立ち回りについて課題が見えてきました。ここからは課題の解決に向けて動いていきます。この時、構築を改めていく上で重要なポイントが2つあります。それは、

・構築の軸・コンセプトを改めて確認する(修正する)こと

ポケモンごと(枠ごと)の役割を改めて確認する(修正する)こと

です。ここからは使っているポケモンや持ち物、技構成、努力値振りなどを変更して、パーティーを調整していくことになります。その過程で一番やってはいけないことが、色々なポケモンを試しているうちに、構築の軸がブレたり、ポケモンごとの役割を曖昧にしてしまうことです。パーティーを調整する前に、改めて構築コンセプトと、ポケモンの役割を見直しましょう。
 このフェーズに入るときには、まず回答者がしっかりと以上2点のポイントを質問者へと伝えてあげましょう。ここで、構築コンセプトやポケモンごとの役割に改良案が浮かべば、その方向性も併せて伝えてあげるとベストです。

 それでは簡単にミエイが使っている構築のコンセプトとポケモンの役割を見直しつつ、課題と見比べてみましょう。

~これまでのラッキー軸~

コンセプト

悪巧みトゲキッスを通す。

○目指す勝ち筋①

サイクルの中で有利対面をつくるorエースの圧力により、相手のDMを強要し、受け駒で受けつつ、相手のDMを枯らしてから自エースを通す。

○目指す勝ち筋②

ラッキーでステロ電磁波を撒いて雑に切り、電磁波の入ったポケモンを起点に自エースで積んで全抜きを狙う。

ポケモンごとの役割

ラッキー カバルドン  ギャラドス → サイクルパーツ

トゲキッス → エース

ドラパルト(鉢巻)エースバーン(両刀珠) → 崩し枠

○構築の課題

・ドラパルトの型
エスバ絡みの選出の確立
・サイクルパーツが起点にされる積みATへの回答

立ち回りの課題

・「出し勝った時のアドが大きく、出し負けてもケアが効く」初手選出を心掛ける。
・エースを無暗に後出しすることでHPを削るプレイングを控える。

  ここで、構築の課題として挙がっているのが、「 ドラパルトエースバーンの崩し枠」に集中していることに気が付きます。(積みATへの回答もこの枠で行う)そこで、これらのポケモンにもう少し具体的な役割を持たせることで、課題の解決を試みましょう。

3.2.構築記事を参考に、構築へ環境に適した改良を施す。

構築の課題解決への近道は、似たような構成で結果を残しているパーティーの構築記事を読むことです。

 ここまでで、「構築の改良したい部分」はなんとなく見えてきました。では、それをどのように改良したらいいのか…、そんなときに役に立つのが前期までに結果を残してきたポケモントレーナーの皆様が残してくれている「構築記事」になります。この段階で構築記事を読み直すことは、現在の環境との差異を考えたり、浮彫になった課題解決へのヒントをピンポイントで探したりする上で、非常に有益です。
 この「構築記事を読む」という行為は相談している側は勿論のこと、相談されている側も積極的に行うことで、的確なアドバイスや構築改良のヒントを示唆することができるようになるでしょう。時間に余裕があったら、一緒に記事を読んで、色々意見交換をしてみるのもいいと思います。
 構築記事の検索には以下の「ぽけっとふぁんくしょん」様のサイトがおススメです。

このサイトでは、パーティーに採用されているポケモンごとに検索を行う機能が備わっているので、自身のパーティーと似ている軸のパーティーを探すのが非常に簡単にできてしまいます。記事の中では、特に持ち物や技構成に目が行きがちですが、構築コンセプトや構築経緯、ポケモンの採用理由などに注目して読むと、自身の構築の改良点が見えやすいと思いますので、意識的に読んでみましょう。

 ミエイの場合はラッキーを軸にしたパーティーの構築記事が非常に少なかったので、カバルドンポリゴン2のような並びやカバルドン ギャラドスのような並びを中心に構築記事をさらい、「構築の詰め筋にしているポケモン」「積みAT(特にミミッキュギャラドスロトム水ロトム炎)への回答」「エースバーンの用法」などを中心に情報を収集してみました。以下にその結果、構築にどのような改良を施すことにしたのか、簡単にまとめておきます。

 この時(S9中盤)、環境には「眠カゴ型ロトム水ロトム炎」や「ジバコイルウオノラゴンウーラオス悪」の台頭により、基本選出の「ラッキー ギャラドス トゲキッス」を通すことがS8の時よりも難しくなっていました。また、S8最終盤に数を増やしたBに振っていないポリゴン2に負荷をかける為の「鉢巻ドラパルト」と、カバルドンギャラドス単体でエースバーンを見ている構築に刺さりが良かった「両刀珠エースバーン」の役割が薄くなっていた為(HBポリゴン2の増加・両刀エースバーンの対策の進行)、ドラパルトを竜舞を搭載したエースに据えてトゲキッスの分岐パーツとし、エースバーンを構築全体で重かった特殊積みへの回答として、とつげきチョッキAT型で採用し直しました。

 さらに、この頃にはスカーフエースバーンによる、初手蜻蛉帰りから、裏のカバルドンポリゴン2(物理ストッパー+特殊ストッパー)につなぐ構築が大流行し、構築の勝ち筋の1つである「エースの圧力によるDMの誘発」があまりうまくいっていなかったり、初手にカバルドンを選出するプレイヤーが少なくなっていたりしたことから、「初手トゲキッス」から試合を展開するのではなく、「ラッキー ギャラドス カバルドン」による2サイクルで相手に負荷をかけてから裏のエース陣「トゲキッス ドラパルトエースバーン」を通すことを構築の軸に据えなおすこととしました。

こうしてパーティーの改良案の仮組みができました!
↓が新しいラッキー軸の形です。

~改良版ラッキー軸~

コンセプト

悪巧みトゲキッス・竜舞ドラパルトを通す。(2サイクル1エース)

○勝ち筋

・受け2サイクルで相手のサイクルに負荷をかけてDMを誘発させ、枯らしたり、エースが積む機会を捻出して、全抜きを図る。
・必要に応じて受け2体の内、1体を残してエースの狩り残しをスイープしたりTODで勝利を狙うこともある。

 

ポケモンごとの役割

ラッキー カバルドン  ギャラドス → サイクルパーツ

トゲキッス ドラパルト→ 積みエース

エースバーン → 補完(積みATへの誤魔化し枠)

備考

ギャラドスを完全にサイクルパーツとして運用する為、ジェット媒体の「飛び跳ねる」をミラー時に強い「ストーンエッジ」に変更
カバルドンに「ヘビーボンバー」と「雷の牙」を採用して重めのミミッキュギャラドスを対策。(なまける3W型に変更)
ドラパルトを竜舞珠型で採用し、トゲキッスの分岐ルートを作成。

ラッキーだけで突破が困難であった眠カゴトゲキッスロトム水ロトム炎への誤魔化し枠としてチョッキエースバーンを採用。

 ここからは、2章と3章の行程を繰り返して、構築の練度を上げていきます。
 質問者側は、時間の許す限り試行錯誤してパーティーの改良に努めます。時間の経過と共に環境は刻一刻と変化していくので、それらに適応できるようにしましょう。
 回答者側は、質問者の方針が間違っていないかどうか確認し、必要に応じてアドバイスしましょう。

4.まとめ

 今回行った構築相談の流れは以上になります。
 私は「構築相談」を始めたときに「○○がキツいからどうすればいいですか?」「△△がおススメです!」といった内容を想像していましたが、今回は「どうやって構築を改良するか」の方法を教わりました。
 もちろん双方にとって時間も労力もかかるものでしたが、この構築に限らず、今後に活かせるお話を聞くことができました。
 最後に質問する時に気をつけることをまとめて、本記事を締めくくらせて頂こうと思います。

先に構築の叩き台を作っておく。
 →「やってもらう」のではなく「手伝ってもらう」意識です。

適切な相談相手を選ぶ。
 →ポケモンが強い人にもそれぞれに得意分野があるので、専門外のことを聞いて相手を困らせないようにします。
 (普段から親しくしている場合などは例外、相手との距離感に応じて)

困っている事や問題点を具体的に伝える。
 →「勝てません」と伝えるよりも「○○の処理に困っています」というように伝えましょう。質問者が伝えた内容以上のことは回答者にもわからないと思った方が良いです。

1から10まで聞かないようにする。
 →双方にとって時間は貴重です。聞く前になるべく自分で考えましょう。 

 「構築相談」は回答者のご厚意に甘えさせて頂くことで成り立っています。質問者側としてはとてもありがたいことですし、非常に有意義で大切な文化であると改めて感じました。これからもこのような文化が発展し継続できるように、回答者の方への感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います。
 本記事について、なにか質問等ございましたらTwitterミエイ(@Miei_pokemon) | Twitter」までよろしくお願いします。本記事が構築相談に悩む方への一助となれば幸いです。

 

2020年9月3日 みえい